GO Bicycle

鈴木宏法役・草なぎ剛のこと


 映画初主演。自転車便〈東京エキスプレス〉を矢部浩之扮する横田重一と細々と続ける鈴木宏法役。事故で入院、代わりにやって来た清水尚実(飯島直子)とイガミ合いつつ、なんだかんだ惹かれ始める。が肝心な〈こと〉が言えない。シャイで反面、頑固で強気な性格。『私をスキーに連れてって』の三上博史、『彼女が水着にきがえたら』『波の数だけ抱きしめて』の織田裕二とよく似た若者だ。ホイチョイ・ムービー典型の主人公だ。

「映画で初めての主演で、二枚目の主人公を演じるのも初めてです。いままでどちらかというと三の線が多かったですからね(笑い)」
と記者会見で快活に話していた草なぎ君。撮影初日、東京・大手町のとある銀行での撮影では盛んに「緊張してます、二枚目、初めてですからね」と言いながらも緊張など感じさせないノリのイイ、動きのイイ演技を見せ、スタッフを唸らせた。

 撮影の空き時間や待ち時間には自転車の練習に余念がない。高速で走る自転車、ペダルから足が外れないためシューズの裏に特別な金具(SPD)が取り付けられている。その金具をペダルに装着したり、瞬時に外したり、その練習に熱がこもっているのだ。
「SPDをバチッと着けるカット、さっとと取り外すカット。そういう細かい場面がとても大切でしょ、全部自分でやりたいですから、 練習するしかないでしょ」
 いつものニコニコ顔。明朗に話してくれるが、芝居にかける意気込みには凄味を感じる。鍛えられた役者根性だ。

 馬場監督から「オーケー」の声がかかる。するとビデオモニターのところまでスタスタと歩み寄り、いま撮った場面を観る。必ずビデオモニターで演技を確認する。真剣な目つき。演技の研究にも余念がない、といった感じだ。

 鈴木宏洋役の草なぎ君の演技、大いに期待できる!


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